山辺の家・・・色決め 

今日は、久しぶりに「山辺の家」で現場打ち合わせ。外部足場を解体する前に、外壁や軒先廻りのチェックをしました。外壁の色もイメージ通りで、コンクリートの基礎との取り合わせも綺麗です。更に、もう一度仕上げの塗装をします。

基礎工事で苦労しながら残した、大きなヤマモミジの木が紅葉を始めていました。バルコニーから枝に手の届く絶妙な場所にあったので、無理をして残して頂きましたが、正解!・・・木が有ると無いとでは全く違います。
昨日は、内装の色決めでした。

今回の内装は、栗のフローリングを中心に展開します。なかなか使う機会の無い樹種ですが、何年かするとタンニンが浮いて来て渋い黒味がかるのが特徴です。ソファーやダイニングセットの置き家具も、栗のフローリングに合わせて、グレー系の濃淡でチョイスしました。
インテリアのポイントとなるファイヤープレイスには、亜鉛メッキリン酸処理の鋼板を使います。

今春竣工した、五千尺ホテルのスィートルームのパーラーにも使いましたが、自然と浮き出る模様が、墨絵の様に素敵です。

 広場の設計 

塩尻市中心市街地で広場の設計をしています。
中心市街地の核商業施設「ウイングロードビル」のエントランスと建物東側の約1,400平米のスペースのデザインです。県道を挟んだ反対側には市民交流施設「えんぱーく」があり、ウィングロードビルとえんぱーくのアクティビティーと一体になった広場のデザインが求められます。
この類の広場をデザインする際に、最も重要なのが「広場をつくる目的」です。
建築物の場合、用途や使い方にある程度の与条件があり、それに従って建物のコンセプトやデザインを考えていきます。しかし、広場の場合、往々にして・・・空いている場所があるからどうしよう?・・・というところから物事が始まります。そこで、まず考えなければならないのが「広場をつくる目的」です。その狙いが間違っていると、どんなに美しいデザインをしても何もなりません。尤も、建築物の場合もコンセプトやデザイン以前に、建物をつくる目的・プログラムが重要で、それを間違えると今話題の「国立競技場」の迷走のような事態を引き起こします。
現在、そのディスカッションの資料を作成中。

先ずは、「広場をつくる目的」をデザイン!

 赤羽医院 

随分と久々のブログ更新です。
松本市深志で建替え工事をしていた赤羽医院が、来週月曜日にオープンします。
現在は町の診療所で手術室や入院施設を備える医院は少なくなりました。建替え前は、手術室もあり病室が何部屋もある医院で、先代には思い入れのある医院でしたが、コンパクトな木造の医院として建替える事になりました。
院長先生は、週2回、近くの病院の消化器外科で手術もこなし、医院はコンパクトとはいえ、X線室、内視鏡室も備え、診療は勿論、手術前の検査から、手術後の経過観察などにも対応する本格的な診療を行う事ができます。
エントランス・待合スペースから中廊下で、受付事務室・診察室・処置室・X線室・内視鏡室の各室が展開する、中廊下型の平面計画です。中廊下型の平面計画では、廊下が薄暗く陰気な雰囲気になりがちですが、天井に連続する梁の上にハイサイドライトと、2階の院長室・看護師休憩室に繋がる吹き抜けをとり、自然光に溢れた気持ちの良い中廊下をデザインしました。
詳しくはホームページ
http://www.yamaken.server-shared.com/works/ac/ac.htm
をご覧ください。

 松本衣デザイン 着物から展開する服 

松本衣デザイン専門学校の1学期最終課題は、着物から展開する服。
1970年代に、三宅一生山本耀司川久保玲が、今までの西欧の人体のフォルムから展開する服に対して、着物から展開する布を表現する服を発表して、アパレルデザインの世界に革命を起こしました。
「着物」からイメージするのは・・・との問いに学生の答えは、ぶら下がる布、垂れる袖、巻き付ける、帯、重ね合わせ等・・・。では、そのイメージを展開させて、布の美しさを表現する服をスケッチせよ。スケッチといっても、1/3スケールの自作のマネキンの上に立体スケッチをしていきます。


何枚もの布を、肩と頭からぶら下げて、布の重ね合わせを表現した左の作品。
着物の裁断をベースにしながら、腰にボリュームのある布をまとわせた右の作品。

肩と腰から連続する布の動きをつくりながら展開した左の作品。
肩から腰帯で白い布の歪みをつくりながら肩からぶら下がる2枚の布を組み合わせた右の作品。
1年生の1学期の習作にしては、なかなかの出来です。これからの衣服デザインに繋がるのを楽しみにしています。

 頭隠して尻隠さず展 

第9回松本安曇野宅建築展を5月2日〜6日まで、松本市美術館で開催しています。
今年の会場構成は私です。毎年、会場構成の担当者がテーマを決めて、展示構成をするのですが、今年のテーマは「向かい合う建築」として、広い会場の中で、9人の建築家其々の作品と向かい合う会場構成としました。

1.8M×1.8Mの一坪の空間を各自のスペースとしたのですが、軽い木でフレームを作って天井から吊り、その中に其々の展示空間が展開しています。外からは、木のフレームが天井から吊られて浮いているだけですが、かがんで中に入ると外界からの視線も外界の様子も遮断され、其々の建築家の作品と向かい合う濃密な空間が現れます。イメージは雑踏の中でスマートフォンの画面に向き合い、廻りの喧騒を忘れる感覚です。

大勢の人がいる公園や電車で、其々の人がスマートフォンに向き合い一人の世界にこもる様子を見ていると、とても奇異な感じがするのですが、この展覧会でも、木のフレームに入り込んで作品と対峙している人を外から見ると、なんだか不思議な感じがします。作品をみている人が作品になる、現代芸術の視点も展覧会場に取り込んでみました。
第9回松本安曇野宅建築展・・・別名は「頭隠して尻隠さず展」です。

 衣デザイン専門学校 立体スケッチ 

先週までに完成させた1/2.5サイズのマネキンに、薄手の布で衣服を立体スケッチしました。
立体造形(衣服・建築・プロダクトetc)をデザインするときに、平面でスケッチをして、立体造形に進むプロセスがあります。余程慣れた、あるいは優れた立体感覚の持ち主は、平面スケッチをしながら出来上がる立体をイメージできます。しかし、ほとんどの人は、平面(三次元のひとつの側面)から立体の全体像をイメージすることは困難です。
私が建築を考える時も、最初のイメージづくりから模型でスケッチをして、それを図面に落とし込んで、再び模型でチェックしていくというプロセスで設計しています。

そこで、松本衣デザイン専門学校のベーシックデザイン(デザイン基礎演習)では、立体を立体としてスケッチ→平面のスケッチに置き換える→再び立体に戻って衣服や立体造形を完成させる。「立体を立体としてイメージする」というプロセスを、当たり前のデザインプロセスとして身に着けるように、カリキュラムに手を加えました。

今回の衣服立体スケッチのテーマは「巻く」…それぞれが好きな幅の布を、縫わずに、巻きつけたり、縛ったりして、マネキンの上に自由にスケッチします。
私がイメージしていたのは、縫いの技術がなかった時代のプリミティブな衣服です。しかし、学生たちは頭が柔らかく(私の意図とは少し違って)、原始時代の服ではなく、今風の服を巻いたり縛ったりの作業で立体としてスケッチしました。自由にスケッチしている中でも、縫ったり切ったりの作業を制限した中に、布本来の美しさを引き出した作品が多く、私がもっと頭を柔らかくしなければと思わせてくれました。
1年生の最初ですが…上出来!

 八ヶ岳建築見学ツアー 

今日は、松本市美術館の「戦後日本住宅伝説」展の関連プログラムの、建築見学ツアーでした。
我々、松本在住の建築家がツアーのご案内をさせて頂きました。
ツアーの見学建物は、八ヶ岳高原音楽堂(吉村順三) 八ヶ岳高原ヒュッテ(渡辺仁) 歓帰荘(白井晟一)。

八ヶ岳高原音楽堂は吉村さん後期の傑作。八ヶ岳高原ヒュッテは、横浜ニューグランドホテル、銀座和光ビル、上野国立博物館などを手掛けた建築家、渡辺仁設計の元徳川家ゲストハウス。そして、歓帰荘はドイツから帰った白井晟一が2作目に手掛けた伊豆の老舗旅館の別館。人知れず八ヶ岳に移築されていました。
素晴らしい天気に恵まれて、絶好の建築ツアー日和でした。


八ヶ岳高原音楽堂では、係りの方が折りたたみ椅子を畳んでみせてくださいました。学生時代、木曽三岳工房で椅子の製作も手掛けていらした奥村先生が、我々学生に椅子を紹介して下さった30年前の記憶が蘇りました。