景観と建築家

職業・・・建築家。
そもそも、中学時代に家の増築をしていて傍らで見る大工の仕事を楽しそうだと思い、大工になりたいと思いました。しかし、当時の美術クラブの先生に話したところ、「建築家という職業がある。君は絵が上手だから美術大学で建築を学んだら・・・」といわれたのがきっかけで、現在に至っています。
建物を作るとき、建築家は何もしません!
大工・左官・塗装・板金・・・皆其々に手を動かし、建物を作っていくのですが、建築家とは、図面を描いて「アアだコウだ」言うだけ。

この頃、「景観」といって、我々建築家にもアドバイスを求められる機会があります。現在、長野県木曾郡木祖村の景観計画に関わっていますが、今日は、日本建築家協会長野県地域会のメンバーと木祖村を訪れました。
我々、建築家が里山景観に出来る事って・・・ここでは更に何もありません!
農業に従事する人、林業に従事する人、ボランティアで花を植える人、皆其々に手を動かし、里山の景観を作っているのですが、建築家とは、眺めて歩いて「アアだコウだ」言うだけ。
建物に関しては、図面を描きシュミレーションをした上での説得力のある「アアだコウだ」です。しかし、景観に対しては自分の感覚を研ぎ澄ませて、少しはましな「アアだコウだ」を言えなければ、我々の存在価値などありません。
尤も、建築も景観も「場」をつくる・・・という事では同じですから、そこに我々の考えるべき事がある筈です。