旧山崎歯科医院の赤レンガ拾い

6月28日(火)早朝6:00
建物解体が進む中、急な前日の呼びかけにも関わらず、軍手にヘルメット姿の17人が旧山崎歯科医院解体現場に集まりました。皆、旧山崎歯科医院の赤レンガ建築に其々の思いをもって集まった有志の方々です。
昨年6月に松本市が震度5の地震に見舞われました。その際、松本城下、上土に明治21年に建てられ、洋館の立ち並ぶ大正ロマンの街の一角を担ってきた、長野県内の登録有形文化財第1号の、赤レンガの旧山崎歯科医院にも大きな被害が及びました。多くの方により、建物の保存運動が展開されましたが、残念ながら、取り壊される事になりました。

解体工事が始まろうとしている今年8月。なわてナイトバザールでの「旧山崎歯科医院の解体は?」「松本市の街・建築の歴史の断片として、赤レンガを、これからの街づくりのアイコンに出来ないだろうか?」この会話から、今回のプロジェクトが始まりました。早速建物所有者の山崎さんにお会いし、解体途中の建物から、赤レンガを分けて頂くご了解を得る事が出来ました。
解体工事業者も理解を示して下さり、木造とレンガ造が入り混じる複雑な建物の解体が難航する中、6月28日(火)早朝2時間の赤レンガ運び出し作業となりました。

崩された瓦礫の山から欠けていないレンガを拾い出し、解体途中の建物からレンガを抜き出し、2t余りのレンガをトラックに積み込みました。レンガを拾いながらも、2階床や屋根の蛇腹積みを観察したり、焼の甘いレンガは室内に、綺麗に焼かれた丈夫なレンガを外壁に、更に焼きしめたレンガは外壁の腰壁に、と適材適所に積み分けられたレンガの硬さを、手に実感出来ました。


その後、近くのかわかみ建築設計室の駐車場に赤レンガを運びこみ、砂漆喰の目地を丁寧に一つ一つはぎ落としました。瓦礫から拾いだされ、ケレンされて綺麗に積まれたレンガは、再び息を吹き返した様に見えました。少なくとも作業に関わった我々には、その様に思えました。

今後、この赤レンガを、松本の街や建物の歴史の断片として、また、これからの松本の街づくりにつなげるアイコンとして、心ある方々の手に託すプロジェクトへと移っていきます。

赤レンガ建築として生き今回拾い集められた1200個のレンガに、新しい役割と命を吹き込む作業、これからも心ある多くの方々のご協力をお願いします。