松本駅お城口

昨日、松本駅前周辺交通施設連絡協議会で、松本駅お城口の基本デザインが承認されました。
昨年6月、私が出席している松本市景観審議会に、松本駅お城口の案が提示されて、その案の内容や市民とのすり合わせに疑問を持ちました。昨年秋に、建築士会主催で駅前デザインに関する市民向けのシンポジウムを企画し、市民の方々の意見を頂戴しながら、松本市に案の修正を求めてきました。
シンポジウムの反響を感じた松本市も、基本デザインの再検討に前向きになり、景観審議会に「駅前デザイン専門部会」を設けて検討しました。更に、今年に入って、景観審議会から柳澤孝彦会長・私も含めて、都市デザイン・建築・造園の専門家をデザインアドバイザーとして、基本デザインの見直しを行いました。
その結果が、昨日の基本デザイン最終案(模型写真)です。


写真の下が松本駅、広場の舗装パターンに沿った先が、駅前通り・・・美術館や芸術館への駅前大通りに沿って美ヶ原を望む軸線です。コンコースを降りた正面には、タウンスニーカーの乗降場所が位置し、バス・タクシー・自家用車のシェルターも、「和」と「モダン」を意識して、端正でシャープなアルミの素材にガラススリットをデザインしました。広場の中央には、広場の表情に柔らかさを演出する天然木のウッドデッキを計画しています。目線を阻害する低木の植栽を避け、目通りの良い高木を舗装パターン同様に都市軸に沿って配し、のびのびと広がりのある広場をデザインしています。

既に、関係各所との調整を半ば終えた段階での修正でしたので、シンポジウム等に出された市民の意見を反映するには不十分でしたが、昨年6月に提示された案に比べて、随分のびのびとしたデザインになったかと思います。これから、更に詳細の設計を進め、8月から順次工事に取り掛かり、2011年度には完成する予定です。

それにしても・・・この半年を通して、土木建造物におけるデザインの重要性をもっと認識して欲しいと感じました。7億円規模の公共物をデザインするに際して、我々が意見するまでは、模型によるスタディーや周辺全体を意識したデザインコンセプトもなかったのですから、我々、建築・都市のデザインプロセスからしたら考えられません。

土木による造形物が、景観に対して、建築よりも遥かに多くの影響を与えていることを自覚して欲しいと思いました。ちなみに、建築家・内藤廣氏はそれを危惧し、土木にデザインの概念を形づくろうと考え、東京大学建築学科」「土木学科」で教鞭をとっているのだそうです。