素材と造形

今日は、アパレルデザイン学校で衣服製作実習の講評会でした。
全体を通して・・・素材と造形・デザインが噛み合っていない服が多くありました。
体から離れたアシンメトリーなデザインをしながら、重い布が垂れ下がってしまったり・・・
張りのある布地でアイロンのプレスを効かせるデザインで、布がヘタってしまったり・・・
布地と造形が噛み合っていないのに、詰め物や芯を多様して無理やりにフォルムを作ると・・・
それはアパレル・ファッションデザインではなく、学芸会の「着ぐるみ」になってしまいます。

その中で、自分で布地をアレンジして服作りに活かした作品が、印象的でした。(写真を撮っていなくて残念・・・)


建築においても、構造体(鉄筋コンクリート・鉄骨・木造・膜構造・シェル構造etc)や、仕上げ材(タイル・左官・木材・紙・クロス・ペンキetc)によって、造形やデザインは全く違います。
それを無視してデザインすると・・・舞台セットの「かきわり」や、テーマパークの建物になってしまいます。


衣服の場合は、構造体=仕上げ材=布地ですから、布地の選択が即ちデザインといっても過言ではありません。学生達は、布地の色や模様や質感には関心があるようですが、造形・構造としての布地に意識が足りないのを感じました。

アパレルデザイン学校では、私はベーシックデザインの授業を受け持っています。立体造形の基礎として教えるべきことは沢山あるのですが、今まで以上に、「素材と造形」あるいは「素材と構造」に意識を向けさせる必要がありそうです。