蔵のまち・・・中町

昨日は、東京から、景観デザイン支援機構のメンバー20名ほどが松本に来て、我々、松本都市デザイン学習会と共催の、都市デザインに関わる景観講座をしました。
前半の、まちあるきは、あいにく小雨がぱらつく天気でしたが、皆さん5kmあまりのまちあるきを堪能されたようでした。

後半は、景観デザイン支援機構のメンバーと、松本の方によるパネルディスカッション。私が、コーディネーターを勤めましたが、今回のパネルディスカッションは、話がまとまる訳が無いとあきらめていたので、如何に、パネラーの意見を引き出すかを考えていました。
あらかじめ、話題に挙げたい事を箇条書きにして、メモしておきました。
其々のパネラーに順に話をお聞きして行きましたが、景観デザイン支援機構代表理事の土田旭さんが「どうして、中町は蔵ばかりになってしまったんだ。」と述べました。
私は、そのコメントを受けて、メモの中に、「観光・二次商圏の中核都市・居住の3つの側面を持つ都市」として、松本の特徴を挙げていたので、如何に、それらの要素のバランスをとってまちづくりをしなければいけないか・・・との論旨で話を展開させようとしました。
なんとなく話が一巡して、土田さんに話が戻った時点で、「だからさっきから言いたいのは・・・蔵ってのは、倉庫だろ。人の住むビルディングタイプでは無い。そもそも中町には、こんなに蔵ばかりではなかった筈だ。町には、人が住んで居なければ駄目だ。1階で商売をして、その上階に人が住んでいる。そんな多要素が複合した町にしなければ駄目だ。」

松本では、松本の市内観光の目玉として「蔵のまち・中町」をフューチャーして、城下町のイメージを展開しています。
しかし、そもそもは、明治時代の大火で、土蔵が焼け残ったのを参考に、何軒かの蔵づくりの建物が中町に建つのですが、大半の蔵は、近年になって観光を意識して建てられた建物です。私自身は、観光をターゲットに、ある種のデザイン形式の建物ばかりが建てられる事に、違和感を感じていたのですが・・・土田さんは、更に別の次元を考えていました。
市民自慢の「蔵のまち・中町」を、まちの多様性という観点から、バッサリと切るとは、予想だにしていませんでした。役者が違います・・・恐れ入りました。