創っては壊す

今週は、信州大学建築学科の講評会にゲストクリティークとして参加しました。
50作品からあらかじめ選ばれた20作品を、其々3分間のプレゼンを受けて、4分間で講評。3分間のプレゼを聞きつつ、模型や図面を見ながら、案の肝を見つけ出し、端的で的確な講評をしなければなりません。

3年生の作品でしたので、多くの案が、最初に思いついた「コンセプトのかけら」から、講評に耐える「コンセプト」へと抜け出していませんでした。講評会と言うよりは、エスキースに近い講評になりました。
そんな中では、どんな「コンセプトのかけら」を思い付いたか=センスの良さ、で評価するしかありませんでした。


そこから一歩抜け出すには、まとめ掛った案を客観視しながら見直して、コンセプトの方向性の検証、案の肝になる所、詰めるべき所、考え直すべき所、を探しながら、「コンセプトのかけら」でしかなかった考えを、リアリティーのある「コンセプト」へと昇華させるプロセスが必要です。言いかえれば、自分の案を、客観視しながら「創っては壊す」作業です。
そこで必要なのが、案を組み立てるスピードです。瞬発力に自信が無ければ、案を「創っては壊す」作業で、時間を掛けて廻り道をしている余裕がありません。勿論、ギリギリまで「創っては壊して」いたら、最後の完成度を上げるのにも時間が足りなくなりますから、そこでも必要になるのが、ラストスパートをかける瞬発力です。
(多くの学校で、即日設計や短期集中課題があるのは、その為です。・・・尤も、学生時代には気が付きませんでしたが。)


センスが良くなければ、魅力的な建築にならないのは当然。しかし、センスの良さだけでは、建築にはなりません。勝負はそこから先で、「コンセプト」を組み立てるのは、自分を客観視して、創っては壊しながらブラッシュアップする「しつこさ」「辛抱強さ」にあると実感しています。