一張羅

イッチョウラ・・・・と入力したら「一張羅」と変換されました。こんな字を書くのですね。
10年間着た、秋冬の一張羅がくたびれてきたので、久々にテーラードジャケットを手に入れました。仕事柄、普段はスーツを着なくても良いので、着慣れないテーラードの服を着ると、七五三の晴れ着姿になってしまいます。結婚式のスーツ姿は、まさに七五三の子供みたいだったので、千歳飴の袋を提げた記念写真が残っています。だから、私にはジャストサイズのビジネススーツはNG!おまけに、もの凄い鳩胸(お腹も出てきましたが)なので、スーツを着ると胸が開いてしまい、おおよそテーラードジャケットには不向きな体型です。今流行りの、タイトフィットの着丈の短いスーツなど無理!もっての外です。

そんな理由で、このブランドの服を愛用しています。
デザイナー自身も小柄で一般的にはかっこいいとは言い難い風貌ですが、ファッションショーの映像で、一番かっこいいのは自身のデザインの服を着た本人です。昔のインタビューですが、ファッション雑誌で語っています。
「もう少しなんとかなってもいいのになれない、どうしようもないオレ。一般レベルの下の段階。そういう男に仲間意識があるので、はずれても大丈夫だよと安心させてあげたい。コンプレックスを持つ人に、違うっていいことだと伝えてあげたい。平均以上の、ほっといてもかっこいい人に僕の服の助けはいらないでしょう。」
・・・確かに、人並み以上にかっこよくて、何でも似合ってしまったら、GパンにTシャツで十分ですから・服選びにあれこれ悩む必要はないでしょう。逆説的ですが、私が服が好きなのも、建築のデザインの仕事をしているのも、自分がかっこわるいから、かもしれません。せめて、自分のつくるものはかっこ良くありたい・・・。私がかっこ良かったら、デザインの仕事などせずに、街で女の子をナンパする道を選んだかもしれません(笑)
デザイナーは・・・ファッション好きな人にはお分かりですね・・・Y'です。

ファッションデザイン学校で講師をするようになって、建築のデザインと衣服のデザインの一番の違い、「布は肩からぶら下がる」「布の落ち方」に目がいくようになりました。試着した時に、ウールギャバジンの上質な布が肩から綺麗に落ちるのが気に入りました。今流行の、ボディーコンシャスでパツパツのスーツには無い感覚です。自分で言うのも変ですが、肩から綺麗に落ちた布が、白髪交じりの皺が入った顔に合うのが面白い感覚でした。若い頃にウールギャバジンの服を試着した事もあるのですが、しなやかな感じに違和感がありました。・・・それなりに、年をとったみたいです。

しかし、胸の厚みに合わせてサイズを選んだら、袖丈と着丈が長すぎたので、デザイン学校でお直しをお願いしました。服のバランスが、ほんの5ミリ変わっただけで目に見えて変わるのが驚きでした。建築のデザインでよかった・・・建築は体との距離があるので、多少の寸法の違いは解りませんが、服は体との距離が無いのでゴマカシが効きません。服の5ミリ単位の仕事は大変です。

お直しが終わって、袖を通すのが楽しみです。