Seize the Day

今年も、日本建築家協会・長野県クラブから「信州の建築家とつくる家 Vol7」が発刊の予定で、今年の雑誌のテーマは「まわりのコト」。先日も、参加者会議が開かれて、特集ページや個人ページの構成で議論が白熱しました。建築・家をとりまく「まわりのコト」をどの様に表現しながら、読者に問いかけていくか・・・。
ご近所・街並み・光・風・音・緑・材料・エネルギー・暑さ寒さ・セキュリティー・家族・お金・生産システム・歴史・流行・時代etc・・・色々な「まわりのコト」の断片を紹介しながら、最終的には建築・家のあり方をあぶりだしていきます。そんな中で、私は「ファッション・流行」に関するテキストをまとめる事になります。

「ファッションは生活」「ファッションは技術」「ファッションはメディア」「生活・技術・メディア・・・それらを映す時代の鏡」・・・と書き連ねながら、最後に浮かんだのが、"Seize the Day"という言葉でした。
ファッションとは・・・・・"Seize the Day"

"Seize the Day"・・・日本語では「その日をつかめ/今を生きる」と表現され、ラテン語では"Carpe diem"
ちなみに、私には、ロビン・ウィリアムスが主演した映画、「いまを生きる」のクライマックスシーンで、教師である主人公が、黒板に書いた言葉として頭に残っていましたが、古代ローマの詩人ホラティウスの言葉です。
wikipediaには・・・ホラティウスが愛や政治や友情、日常生活、哲学的疑問などを歌った104の詩歌が収められた『歌集』(Carmina)の、第1巻第11歌にこの語句が現われる。「その日を摘め(Carpe diem)」はより長い句の一部分であり句の全体は「Carpe diem quam minimum credula postero」、つまり「明日のことはできるだけ信用せず、その日の花を摘め」である・・・とありました。


言うまでもなく「今を生きる」「その日の花を摘め」とは、刹那的な快楽主義に基づいた言葉ではありません。ファッションも刹那的で快楽的なイメージに捉えられがちで、時代の雰囲気をなぞってお洒落な建築を演出するのがファッションだ、などと勘違いされますが、それは消費社会の中での歪んだファッションの解釈です。我々が建築をつくるのは、今を生き、未来に通じる(かもしれない)「新しいリアル」をつくる事です。過去にしがみつくのでも、予測出来ない未来を言い訳にするのでもなく、今の時代ときちんと向き合って、今の時代の中での「新しいリアル」を探す事です。ファッションも同じ・・・「時代の鏡」として時代に向き合う事です。
もし、鏡に映すべき今の時代に魅力が無いと言うのなら、魅力ある時代になるようにコミットしていくしかありません。方法は様々で、政治活動・思想活動・経済活動・・・デザイン・ファッションにも、時代にコミットする力はある筈です。
・・・・・"Carpe diem"