ファッションと社会学

私が講師をしている、松本衣デザイン専門学校では、先週からプレゼン週間として、一年間の作品・授業のプレゼンテーションと講評をしています。先週金曜日は、衣服製作実習のプレゼン=ファッションショーでした。やはり、エネルギーを注いで手を掛けた作品が魅力的に見えました。

今日は、ファッションの歴史やファッション分類・ファッション用語を、解説したイメージマップのプレゼンテーションと講評でした。

2年生のファッションビジネス科は、バロックからのファッションの流れをイメージマップにして、現代のファッションへの影響の解説でした。私も含めた多くの講師が、各時代の社会的背景、宗教、保守と革新、工業化がデザインにもたらす影響、他の分野のアートやデザインとの関連・影響等、社会とその時代のファッションの関連を、もっと深く理解して表現すべきだと講評しました。
60s、70sをイメージマップにしてプレゼンテーションした学生は、「ヒッピースタイル」の服装でプレゼンテーションしました。彼女がリアルタイムでイメージする「ヒッピースタイル」はスーパーフライ(越智志帆)でしょうか?・・・ジャニス・ジョップリンを知っているか尋ねたら、知っていたので少し安心しました。

社会に繋がっていくには・・・自分の興味を持ったところから、芋づる式に関連付く内容を引っ張り出して、理解していくしかありません。ファッションを社会と関連づける入口としては、音楽・ミュージシャンが一番イメージしやすいのかもしれません。いきなり、建築と関連付けられても少し戸惑うかも・・・サン・ピエトロ大聖堂は知らなくても、バッハなら知っていますよね。
いきなり社会学となるとアレルギーを持つ学生もいるかもしれませんが、ジャニス・ジョップリンウッドストック、そこからベトナム戦争、冷戦時代、カウンターカルチャーなどの社会背景へと興味が繋がれば、判り易く理解できます。更には、ヒッピームーブメントは、現代のエコロジーやオーガニック、エスニック等とも関連している事が判ってくるはずです。

1年生は、「日本スタイル」として、ハレとケから始まり、森英恵・コムデギャルソン・KENZO三宅一生ヨウジヤマモトや、それに続く日本のデザイナー、サブカルチャー東京ガールズコレクション等についてのイメージマップと解説でした。
ここでも大切なのは、それぞれのエッセンスやコンセプト、商業や情報と絡んだ社会性です。そこにきちんと踏みこんで解説出来ていたプレゼンテーションは、僅かでした。

ファッションに限らず、デザイナーは、社会のニーズがあって初めて成り立つ仕事ですから、社会の動きに興味がなければ存在しえません。専門学校の学生には、まだピンと来ないかもしれませんが・・・松本衣デザイン専門学校には「社会学」という講義があります。その意義が判るのは、学校を卒業してからでしょうか?