------------------  もりそばラーメンセット


「もりそばラーメンセット」これで店の名前がわかれば、あなたも食通@信州松本です。
今日は子供の参観日で妻は留守、山田食堂はお休みで昼食は事務所から歩いて20分ほどの蕎麦屋へ出かけました。

営業は昼のみで、10:30〜蕎麦がなくなるまで、13:00前には暖簾がはずされます。何でも近所の温泉の宿泊客がチェックアウトの後で蕎麦を食べにくるから10:30開店だとか・・・。温泉街の蕎麦屋といったら、洒落た内装の観光客向けの蕎麦屋かとお思いでしょうが、さにあらず。

店は、古くてお世辞にもきれいとは言えません。隙間風の入る小さな店に古びたデコラの机が5台、穴があいてウレタンが見えるビニールレザーのパイプ椅子。給仕は看板娘ならぬ看板おじさん。このおじさん20年前からお年寄りでしたから、相当なお歳のはずですがすこぶるお元気です。この店では相席が当たり前で、4人がけの机に見ず知らずの人が4人ということもめずらしくありません。タクシーの運転手さん、工事現場のお兄さん、子供連れのお母さん、公衆浴場がえりのお婆さんまで色々な人で店は満員です。
殆どのお客さんの注文は「セット」です。メニューのどこにもセットなどと書いていないのですが、この店でセットと言ったら「もりそば+ラーメン」のことです。「もりそば650円+ラーメン600円=1250円」ですから、二品注文するだけなのですが何故かセットです。「もりとラーメン」と注文しても、おじさんは得意げに「ハイ、セットね!」と注文を受けています。更には、席についてしばらく悩んでいると、おじさんが「ハイ、セットね!」と注文を決めてくれます。


観光地では、もりそば800円、1000円の店もめずらしくありませんが、この店は650円で、もりも決して少なくありません。店の雰囲気からは全く想像できない、一番粉の白く透き通り、喉の奥で甘みを感じる上品な蕎麦です。少し甘めのつゆに薬味は、ねぎ・わさび・もみじおろしです。蕎麦の薬味にはめずらしい「もみじおろし」が濃い蕎麦湯に良く合います。
きれいな看板娘に洒落た内装で渋い器に盛れば、1000円でも・・・。どんなに気取っても蕎麦は蕎麦、「もりそば」っつたら650円、それがこの店です。


ラーメンは、蕎麦つゆの「かえし」を使った真っ黒なしょうゆラーメンです。鶏がらのスープの中にかすかに魚介の香りが漂います。匠?のラーメン屋にありがちな、煮干が勝ちすぎた不自然な味ではなく、かつおや煮干がほのかに香る蕎麦屋のラーメンに恥じない優しい味です。具は、チャーシュー・メンマ・ねぎにナルトで、昔懐かしいラーメンとは、正にこの店のラーメンです。


「もりそばラーメンセット」といえば、美ヶ原温泉「みやまそば」です。この店に、歩いて出かける理由は、もりそば+ラーメンの誘惑に勝てない為。どちらか一品でも十分な量ですが、もりそば・ラーメンの両方とも味わわずにはいられません。
食後は、事務所まで20分歩いて、腹ごなしです。