------------------  センシティブ=旧第一勧銀松本ビル⑤

旧勧銀保存活用には、多くの人が色々な考えで活動しています。「街」をどうしていくのか?という問題なので、色々な考えが錯綜するのは必然です。
しかし、あまりにも活動にまとまりがなく、明解にならない理由を考えていましたが、遅ればせながら、その理由が見えてきました。

本来の「旧勧銀ビルを守り活用する」という活動に対しては、旧勧銀ビルが建っている約200坪の土地と建物を取得すれば、目的は達成できます。しかし、みずほ銀行からは、奥の駐車場を含めた約530坪の土地と建物を取得してください、と求められています。実は、これが問題を複雑にしています。
前者の場合、旧勧銀ビルをどのように活用するかに焦点を絞って議論し、土地建物の取得金額は約1億円です。活動の目標と募金の使途は明解です。
しかし、みずほ銀行の要求どおり、約530坪の土地と建物を取得する場合、取得金額約3億円のうち、約2億円が旧勧銀ビルの存続に直接関係ない約330坪の土地代です。旧勧銀ビルの保存活用案以外に、現駐車場の約330坪の土地利用計画をまとめなければなりませんし、土地を有効活用するには更なる投資が必要です。守る会では、そこに全く言及していません。
アナウンスしているのは、募金目標金額=土地取得費約3億円のみです。しかし、仮に約330坪に1000坪の建物を建てたとして、その建設費でプラス7億円が必要です。みずほ銀行の要件に応えようとすると、この規模の事業が必要です。その上事業のあり方は多種多様で、会として簡単にまとまる問題ではありません。

本来の保存活用運動とは直接関係ない部分に遥かに大きい額の投資を求められています。言いかえれば、みずほ銀行から「旧勧銀ビルの活用提案」ではなく、残り約330坪の土地利用事業計画を求められているに等しいのです。

市民の多くが賛同できる事業計画をまとめられない以上、みずほ銀行の要件がどうであれ「旧勧銀ビルを守る市民の会」という名の「市民活動」は使途の定まらない土地にアクションすべきではありません。仮に約3億円を集め全体を取得しても、会はその約330坪の土地をもてあましてしまいます。始めから、もてあますとわかっている現駐車場の土地に手を拡げてはいけません。保存活用を標榜するはずの市民活動が、330坪の更地の取得とその事業計画にまで風呂敷をひろげてまとめられる問題ではありません。

旧勧銀ビルを守る市民の会」は、旧勧銀ビルとその敷地約200坪を取得する。残りの土地約330坪の売却先と活用方法はみずほ銀行が考える。
約330坪のまとまった土地があれば、みずほ銀行が色々な事業を探るには十分です。仮にそれが高層マンションだとしたら、それに対して別に反対運動をおこせば良いのです。本来、旧勧銀ビル保存活用とマンション反対とは活動が別です。

私個人の意見としては、「旧勧銀ビルを守る市民の会」は、年末までに旧勧銀ビルとその敷地200坪の取得費=約1億円のめどをつけて、みずほ銀行と粘り強く交渉すべきです。唯一これが、募金賛同者に対して預かり金の使途を責任もって説明できる内容です。土地の530坪一括売却を主張するみずほ銀行の考えを変えさせるのは、「旧勧銀ビルを保存活用しよう」という市民活動と、「保存活用できそうなのに、何故みずほ銀行は分割売却を拒むのか。」という世論です。

いずれにしろ、募金活動をする以上、その目標と使途・将来像をはっきりさせなければなりません。