建築条件付き土地

以前から、ご相談されている住宅の仕事。
40年前のパネル式コンクリート住宅の増改築を相談されていたのですが、型式構造の為、建築基準法上、既存の建物に手を加える事は事実上不可能で、増築部分は「離れ」として建設せざるを得ません。諸事情を考えて、近くに別の土地を購入し新築する事を検討し、良い場所が見つかりました。
しかし、その土地は「建築条件付き土地」・・・あらかじめ指定された建設会社と建設工事の契約を結ぶ事を条件に、売買契約を結ぶ土地です。
土地と建物のセット販売(抱き合わせ販売)が独占禁止法に抵触しないように、「土地と建物を別契約」「一定期間内に建物契約が成立しない場合は土地の契約は白紙撤回し頭金は全額返還」等、業界が自主規制を定め、そのルールの下で「建築条件付き土地売買」が行われています。しかし、あらかじめ指定された建設会社に建設を依頼することを条件としているので、建築計画のキャスティングボードは、建設会社が握りがちです。建築主の要望を建物に反映させるには出来れば避けたい条件ですが、今回は、クライアントがその土地にこだわる理由もあって、「建築条件付き土地」で建設計画を進める事になりました。
土地と建物の費用の関係もあり、細かな設計は建設会社が行う事になりそうです。従って、私の仕事は無くなってしまうのですが・・・今まで増改築のご相談にのり、ご家族の様子や希望も良く解かっている経緯もあり、今回は特別に、建築主側のコンサルタントとして、建築計画のアドバイスをする事になりました。
「設計図」という武器を持たずに、コンサルティングとアドバイスだけで、どこまで建築主の盾になる事が出来るでしょうか・・・。