ローカルアーキテクト

事務所でアルバイトをしてくれた信州大学の学生が卒業!アルバイトの最終日という事で、卒業祝いに焼き鳥をご馳走しました。工学部がある長野から1時間以上かけてアルバイトに来てくれた彼らが模型のスタディーをしてくれなければウチの事務所は成り立ちませんし、頭の柔らかい学生達から刺激を受ける事も多く感謝しています。

色々な話をしましたが、地方在住建築家=ローカルカーキテクトの話に・・・
「山田さんは、いつも忙しそうにして、仕事が沢山ありますよね。」・・・「僕は、プロフェッサーアーキテクトではなく定収入はないから最低この位は仕事がないとやっていけないし、相談された事は断らないでやってきた。」
大学で教えながら設計活動をする建築家=プロフェッサーアーキテクト、組織事務所に所属している建築家、アトリエ事務所を主宰する建築家・・・・色々なスタイルの建築家がいますが、私はアトリエ事務所主宰・とりわけ地方都市在住です。
医者に例えてみると解りやすいかもしれません。大学で研究・教育活動をしながら診療をする医師、大きな総合病院で専門的な診療をする医師、小さな街の町医者。
私は例えれば町医者でしょう。町医者は、様々な患者に接します。風邪をひいた、子どもが熱を出した、足をくじいた、虫に刺された、なんとなく調子が悪い、暇だから話し相手が欲しくて来た?
地方のアトリエ事務所は、町医者が内科も外科も心療内科も関係なしに、患者さんの相談にのるのと同じです。私の事務所も、大家族の2世帯住宅は当たり前・・・住宅の土地探しからの相談、曳家をしたいのだが、予算が厳しい、子供が6人、大人5人が住む家、老親子の家、広い敷地を活かしたオフィスの提案・・・自治体・行政からも、駅前広場のシェルターのデザイン、人口3000人の村の景観アドバイザー・・・果てはアパレルデザインの学校でデザインを教えて、建築学会の作品集審査員。とりあえず、そんな相談も断らずに仕事をして来たら、規模の大小・内容・質を問わず、色々な事に関わる様になりました。
ローカルアーキテクトに対する依頼には、型や事例が当てはまる事は少なく、皆が其々に事情を抱えています。そんな仕事に大切なのは、依頼者にとっての幸せを何かを相手に対して素直になり、依頼主の本質を導きだし、既成概念に捉われずに原理に立ち返って考え、つくっては壊しながら建築を探していく事。尤も、それはローカルアーキテクトに限らず、伊東豊雄が「新しい建築をつくるために」で語っている事と本質は同じです。

信州大学建築学科には、大都市出身の学生は少なく、長野県内は勿論、様々な地方から学生が集まっています。彼らも、いつかは郷里に戻って地方在住の建築家として活躍する時があるでしょう。
これから、大学院や色々な職場で経験を積んで、幅広い視野を身につけて下さい。卒業・新しいスタート・・・おめでとう!