都市計画の切り口

昨日は、「中心市街地の問題とこれからの松本ビジョン」と題した、まちづくりシンポジウムに参加しました。
第1部の基調講演は、三橋重昭さん(NPO法人まちづくり協会理事長・経済産業省商店街再生ネットワーク専門委員・中心市街地商業活性化アドバイザー)でした。肩書きからも解る様に、経済を専門とした都市計画家です。私が普段お付き合いしている、建築・都市工学を専門とする、都市計画家・都市プランナー・都市デザイナーとは、違った視点が新鮮でした。

講演の主題は、これからの地方都市は、ローカルイニシアチブを大切にし、脱近代化(国土交通省主導の都市近代化からの脱却)・脱商店街活性化(商店が減少し商店主が高齢化した中で、活性化では商店街を再生し得ない)を念頭に、新たな商店街のマネージメントを考えるべき・・・という内容でした。話の最後には、中心市街地商店街という既得権益の中で、やる気の無い商業者は去るべき、という厳しい態度のマネージメントも語られました。
商業活動のマネージメントに重きを置いていたのは、経済の専門家ならではです。

これを、ハードウェアに置き換えるとしたら、肌理細かな更新が可能な建築・建設システムと、フラットなインフラストラクチャー・・・というイメージでしょうか。コルビジェの「輝ける都市」を意識した、国土交通省主導の都市近代化が、それに馴染まなかったのは明白です。


第2部のパネルディスカッションは、武者忠彦さん(信州大学経済学部准教授)がコーディネーターでした。経済学部ですが、人間行動を切り口に都市を考えるのを専門としています・・・とおっしゃっていました。

人々が幸せに暮らせる都市をつくるのが「都市計画」の目標ですが、経済・産業・人間行動・自然環境・交通・情報・都市工学・土木・建築・・・etc、様々な分野の人が、様々な切り口で、都市を考えています。其々の原理や潮流を理解し、それをハードウェアにまとめあげるのは・・・我々に求められている能力です。
尤も・・・それは、建築でも同じ事ですが、都市には、更なる巾の広さと、長い時間スパンに耐えるビジョンが求められます。