いつもの床屋さんで

今日、久しぶりに床屋さんに行きました。

髪を切って貰うのが30年来の付き合いになる床屋さんと私の、同年代オヤジの他愛も無い会話。
・・・これから、電気ってどうなるの?太陽光発電ってどう?
・・・太陽光発電パネルの寿命までの間に発電出来る電力量より、沢山の電力量でパネルを作るから意味ないし。
・・・だったら、なるべく電気を使うなって事。
・・・結局、そういう事。
・・・テレビは一家に一台。爺さんと孫がチャンネルの取り合いをしてれば良いのね。
・・・暗くなったら、酒飲んでさっさと寝て、朝早く起きれば良いのよさ。
・・・オール電化だ、24時間暖房だなんて言わないで、夜は布団にくるまって寝てれば良いしね。
・・・11PMが終わってテレビ放送が終わったら、寝ろって事。
・・・今の高校生に、そんな事言っても、解らないよね。


いつから、一晩中テレビが見れて、コンビニが一晩中営業するようになったのでしょう?
私が、高校生の頃=ほんの30年前までは、テレビ放送は、11PM(一世を風靡した深夜番組)が終わると画面は砂嵐。
セブンイレブンだって、文字どおり、朝7:00開店、夜11:00に閉店。それでも画期的でした。
たまに学校をさぼって行ったパチンコ店は、ゼロ戦の羽が電気で開くのは上等、殆どの台は指ではじくパチンコ台。


ネット上で、テレビの深夜放送って必要ですか?・・・という素朴な疑問に対する回答をチェックしてみたら、
今回の震災で、芸能界や娯楽(観光・飲食を含む)業界は大きな打撃を受けているから、消費行動が大切!・・・・
日本から、文化の灯を絶やすな!元気な日本を届けよう!・・・・
夜、働かなければならない人の娯楽を奪うのか!・・・・
そんな回答の総攻撃・・・

・・・・それが答え?それが普通の感覚ですか?
電気を使いたい放題つかって、刺激ばかりが大きくなった芸能や娯楽が本当に必要なの?楽しいの?テレビだけが文化?
山口百恵AKB48と、どっちが上かなんて比べてみたって始まらないけど・・・
24時間放送と、福島のあんこう鍋・・・私にとってより大切な文化は、あんこう鍋です。


深夜にラジオで聞くオールナイトニッポンだって、指ではじくパチンコ台だって、私には、十分な娯楽でした。
本を読むのも、書を捨てて町に出るのも、野山で遊ぶのだって楽しい。
24時間暖房じゃなくたって、風邪引かずに学校に通っていましたよ。


24時間、いつでも何でも手に入る・・・という、今の快適?な生活が、
全ては、化石エネルギー枯渇と原子力発電のリスクの上に成り立っているのは、紛れもない事実。
深夜電力だから、テレビの深夜放送やコンビニの深夜営業は、影響が少ない・・・
と言おうとも、電気を沢山使っているのは、紛れもない事実。
そして、現在の深夜電力の主な供給源は、原子力発電です。
深夜放送や深夜営業を見直すべき理由は・・・
電気を使い放題で、その恩恵の上でしか成り立たない、と思われている現在の生活習慣・社会常識を見直す
・・・というだけで十分に意味がある筈です!!!

一日中、放送を垂れ流しているテレビが、「節電しましょう!」・・・と無責任なメッセージを放つより
「今の生活を見直しましょう! ○○放送は、深夜放送をしません。」・・・というメッセージの方が、私の心に届きます。
深夜放送が得意な放送局は・・・「昼間の電力ピーク時には、放送をお休みします」・・・だって社会貢献とメッセージです。


CADで図面を描いて、ネットでブログを書いて、amazonで本を送ってもらっている私の事は、棚に上げて・・・
生活だって、娯楽だって、今までの全てを見直さなければならないなんて、誰でも解かる事!
電化製品の待機電力を節約しましょう・・・なんてレベルの問題ではありません。
ロハスなタレントさんよりも、釣り好きの田舎の床屋さんの方が、余程解っています。
私は・・・少なくとも、私は今、早寝早起きしています。


・・・ほんの20年・30年前を思い出してみたら・・・
ウチノカミサンは電話が無くて、夜9時までの寮の電話でデートの約束をして・・・デートで3時間待たせて(怒られて)
携帯電話は無くて、携帯メールも無くて、skypeがある訳なくて、それでも、恋愛して、結婚して・・・
友達とも沢山遊んで、沢山の楽しい事がありました。
パソコンが無くても、トレーシングペーパーを真っ黒にして、設計していました。
唯、今よりも、少しだけ時間がゆっくり動いていました。
・・・30年前の常識に戻してみる事・・・それを、時代を後退させる事だとは思いません・・・



床屋さんでは、30年前と変わらずに同じ時間が流れていました。
・・・パソコンで、髪を切れませんからね。今も昔も、髪を切るのは、床屋さんの手と鋏です。
変わったのは、
・・・ところで、随分と白髪が増えたね。