今年も・・・デザイン画

松本衣デザイン学校の、年明けのベーシックデザインの授業は、デザイン画の基礎です。
今年最初の授業では、基本のプロポーションに、シンプルな衣服を着たデザイン画を描く予定です。服を描く際の参考に、タイトで生地がしなやかで体の線が綺麗に出る服がないかと探してみたら、クラブショップに昨年の卒業生の製作した、おあつらえ向けの服がありました。授業では、クラブショップの学生店長に服を着て、モデルになって貰います。
来週月曜日の授業の為に、その衣服をモチーフとして、幾つかのポーズでデザイン画のお手本?を描きました。4体とも全く違うポーズに見えますが・・・正面から描いた右の3体の絵は、体の重心とトルソー(胴体)&支脚(体重の載っている脚)の関係が一緒です。・・・これも今回の授業のテーマのひとつです。

一応、デザイン学校の講師ですが・・・衣服は門外漢なので、デザイン画を教えるつもりはありませんでした。
しかし、絵の基礎は同じなので教えてください・・・と言う事で、昨年、特訓したら、どうにかなりました。
どんな勉強をしたかというと・・・色々な本を見ながら、人体の骨格とプロポーション・ムーブメント・衣服の構成を理屈で覚え、それをデザイン画として表現する方法を学びました。絵心は本人の努力次第で、数多く描いて身に付けるしかありませんが、骨格・プロポーション・ムーブメント・三次元を二次元に置き換える図法・衣服の構成・光や影の関係等は頭で理解できるセオリーで、それを教えるのは教師の役割のひとつでしょう。
・・・建築にしろ衣服にしろ、パースやデザイン画は、最終的な完成品・あるいは完成品の意図するもの(=本質)ではなく、本質を伝え、完成品をつくるための表現・伝達手段です。デザイナーにとっての絵やスケッチは、いわば言葉の様なもの・・・そこには文法や言い回しの様な決まりごとや技術があります。
デザインの本質に近い立体構成の授業では、厳しい講評をするだけで多くを教えませんでしたが、今週からのデザイン画の授業では、デザインの伝達手段としての絵の描き方を手ほどきします。また、デザインは「手が考える」という側面もありますから、スケッチを手早く自由に描けるのは、自分のデザインをまとめる上でも必要な技術です。


かく言う私も絵が下手ですが、昨年よりも幾分進歩したと思い、カミサンに、「去年よりも上手くなったでしょ」と見せたら・・・
「あなたが、デザイン画を上手くなってどうするの?・・・でも、相変わらず、猿顔だね。」
確かに・・・建築家が、ファッションのデザイン画を上手くなってどうするんでしょう。
でも、建築のスケッチでは直線ばかり描くので、人の体を描くのは「手が考える」スケッチのリハビリになっています。