先生冥利

信州大学から、先日の「現代職業概論」の学生レポートが送られて来ました。60余名の学生が聴講していたのですが、提出期日までに60名のレポートが提出されたのには、とても驚きました。しかも、そのほとんどが、私の講義の内容を的確に捉えていました。


1)講義の内容をまとめなさい・・・・に対して、明快にまとめられていたレポートのひとつを紹介します。(私が、若干加筆修正しています。)

プロフェッショナルとは誰かに依頼されたり、期待されて物事をする人である。プロフェッショナルは原始社会で生まれたもので、もともとは同じ仕事を同時に合同でやっていたがその中で特定の仕事が得意な人が現れ、その人達がその仕事だけをするようになってできた。このためプロフェッショナルとはお金を目的に仕事をする人ではなく、頼まれて仕事をした結果としてお金をもらい、人のために仕事をすることを前提としている。人から依頼された時に「あなたを裏切りません。」とprofess(宣誓)したのが、プロフェッションの語源である。
プロフェッショナルにとって必要なスキルについて。スキルとは一般的に、技能や能力に習熟する事という意味で使われる事が多いが、クリエーターには、モノの考え方、即ち構成原理を見つめ直す態度を含んだスキルが欠かせない。そして、デザインプロセスで大切なのは、か・かた・かたちの循環、ディスカッションやコミュニケーションの能力、柔軟性、瞬発力、の四つである。か・かた・かたちとはそれぞれに意味があり、かはどうするか、いいのかという設問、かたはもののやり方、動かし方、かたちは実際に目で見ることができる現象を表す。どうすればいいか考え、やり方を導き、形にするということをぐるぐる回して繰り返すことで仕事がブラッシュアップする。この際に重要なものがディスカッションである。ディスカッションでは人の話を聞くことも大切だが自分から物事を発信する態度を持ち、自分の思いを相手に伝えることが大切である。柔軟性は自分の意見と異なる意見が出たときに相手の意見の方が良かった場合に柔軟な考えで自分の意見を捨てていく潔さである。このように新しい意見を取り入れていくのがチームワークでものをつくることの意味である。瞬発力は考えている中で停滞期に入って抜け道がみつかったときに、たたみかけるようにいっきに仕事ができるかという能力である。
仕事をする上で大切なことは形だけでなく、プロセスである。仕事をするときの考え方を見ている人がいて、そのような人が仕事を頼んでくれることもある。クリエィティブな仕事をするときにはステレオタイプ的な見方ではなく、「・・・か?」常に原理に立ち返りものの在り方を問い直す態度が不可欠である。

・・・私の話を、とても的確にまとめています。この他にも、的確にまとめられていたレポートが沢山ありました。



2)この講義から、あなたが学んだことを記しなさい・・・に対しては、
「これからも積極的に建築を学んで今後につなげていきたいとおもいました。」
「こんなにわくわくしながら聴いた講義は初めてで、すごく面白かったです。考え方が変わりました。」
「やはり建築という仕事は楽しそうだと思えました。」

こんな前向きなモチベーションで応えてもらえたら・・・・先生冥利に尽きます!!!
そもそも人にものを教えるのは得意ではないし、自分でも不安でしたが、話してみて良かった・・・
レポートを書いてくれた学生の皆さん、有難う。・・・・私もがんばれそうです!



3)担当教師に質問や意見があれば記しなさい・・・・
「私が稼げるようになった時、マイホームをつくってくださいと依頼した場合つくってもらうことは出来るでしょうか?」
・・・・勿論!・・・稼げるようになる日を待っています。