ヴォーリズ

昨日は、建築士会の今年の会員大会プログラムの下見で、上田市の色々な洋館を案内して頂きました。信州大学繊維学部のキャンパス内で幾つかの建物を見学。キャンパスを出て、上田蚕種を見学したのち、街中の幾つかの建物をみて歩きました。実は、私は、特に洋館が好き・・・という訳ではありません。洋館好きな人の、ディテールや装飾に心酔する気持ちには、正直ついていけない部分があります。そして、洋館好きな方のヒーローにヴォーリズという建築家がいますが、私は今まで、ヴォーリズの建物を幾つか見てはいても、特に関心を持った事はありませんでした。・・・しかし、昨日は、一軒の建物でヴォーリズを少しだけ見直しました。


洋館めぐりにも退屈しかかっていたところに・・・切妻瓦屋根にモルタルスタッコ仕上げの壁にアルミサッシュのシンプルな建物がありました。端正でプロポーションも美しくモダンな建物で好感が持てます。ペディメントや装飾などは一切なく、およそ、洋館の風情を持ってはいませんが・・・実はこれが、ヴォーリズが設計した登録有形文化財の常田保育園でした。
サッシュはアルミに取り替えられ、スタッコも何度も塗り直し、中も大幅に改装されてはいますが、現在も現役の保育園として活きています。
この建築からは、今まで私が洋館にイメージしていたのとは異なる、2階の軒を低く抑えた建築のプロポーションの美しさと、装飾を控えながら荒々しいスタッコ壁による力強さを感じました。私が、ヴォーリズを様式やディテールや装飾に長けた建築家と捉えていたのは、一面的だったのかもしれません。