執着しない

鳩山総理大臣が辞任しました。しばらく、このブログには「時事」を扱っていませんでしたが、久しぶりに、一言いいたくなりました。色々な報道をみていましたが、的はずれな報道も多いなかで、最も共感できたのが、かつてNHKこどもニュースで解りやすい解説をしていた、池上彰さんの解説でした。

キーワードは「執着しない」
池上彰さんが解説を努める番組内で、「何故、ここ何年かの総理大臣は短命なのでしょう?」という質問を受けて・・・
昭和の時代の総理大臣は、権力闘争を勝ち抜いて総理大臣になりました。国会議員になったばかりの頃から、総理大臣になることを夢見て、政策をねり、権力闘争を勝ち抜き、やっと手に入れた総理大臣の座に執着していました。そして、こだわり続けながら、総理大臣の座にしがみつき、自分の政策を実現していきました。
けれども、ここ何代の総理大臣は、選挙や政局のバランスの中で、有権者やメディアに受けの良い人が総理大臣に祭り上げられていました。
彼らには、総理大臣の座は、たまたま転がり込んで来たに等しいので、その座に「執着しない」のでしょう。
・・・と解説していました。


総理大臣に限らず、どんな分野でも、「執着すること」は格好悪く、「執着しないこと」がスマートだ・・・というのが今の時代の風潮です。
物事に執着しなければ、それを失った時に、自分が傷つくことも無いし、言い訳をしながらも、格好いい自分を保っていられます。仕事でも、少し叱られると、それ以上傷つく前に執着することを止めて、退職したり、投げ出す人がいます。ジタバタしながら、目標を追い求める格好悪い自分をみせる事が、そんなに嫌ですか?
仕事に限らず、女・金・地位・名誉・・・・物事に執着して、それを自分で勝ち取り、しがみつくのは、泥臭くて格好悪いらしいです。草食系男子・・・なんて、バカな言葉がはやる時代ですから・・・。


これからも、世の中の価値観が「執着すること」を格好悪く、ダサい事だとするならば、しばらくは、こんな政治が続くのでしょう。
決して、二世総理大臣だけがだらしないのではありません・・・自分のポリシーに執着する強さを持ち合わせない自分達の姿が、総理大臣に鏡写しに写っているだけなのだと感じています。

「泥をかぶる」「石の上にも三年」・・・なんて、今の時代では、死語に等しいですね。