--------サーフィン


昨夜は、小布施であるパーティーに参加し、リッツカールトン日本支社長・高野登さんのお話を、お聞きする機会がありました。色々な話をお聞きしましたが、こんな話が心に残りました。



高野さんのアメリカ時代の上司、リッツカールトン副社長は、元プロアメリカンフットボールのQBで、色々な話をスポーツに例えて話したそうです。彼が、10年以上前から今の時代を見据えて「サーフィンが他のスポーツと違うのは?」という話をされていたそうです。
「サーフィンが他のスポーツと違うのは?」・・・他のどんなスポーツも、大地・地面の上で行いますが、サーフィンは、波の上で行います。
大地という動かぬ確固たるベースの上を走ったり跳ねたりするのが殆どのスポーツです。その上で、相手に勝つためには・・・良い記録を出すためには・・・と戦略をたてて実行して行きます。それが有効なのも、フィールド(大地)という動くことの無い大前提があるからです。
しかし、サーフィンは、常に動いている波の上に乗っています。ベースとなる大地がなく、常に流動的な状況の上に乗っていますから、どんな戦略を立てたところで、状況と違っていたら意味がなく、押し寄せてくる波の動きに合わせて、常に最適なリアクションをするしかありません。
会社の5カ年計画・3カ年計画というのは、大地の様に動かないマーケットや経済状況があって成り立つ戦略ですが、現在のマーケットや経済の状況は、まさに波の様にうねっているので、かたくなな戦略を押し通そうとしても、無意味です。状況を常に見極めながら、最適の判断が求められる。


これは、建築を設計する上でも、漠然と考えていたことです。私たちに設計を依頼して下さる方は、誰ひとりとして同じ方はなく、人数・年代・単身・家族・身体的特徴・敷地・周辺環境・好み・希望・・・全てが常に新しく押し寄せてくる波の様です。プロトタイプや定型など無く、皆さん違う事情を持ったお施主さんの状況に合わせて、常に、最適な判断・設計をしていくしかありません。


激動する時代の中で、流動的な状況にどのように対処していくか・・・柔軟な態度と判断・・・感受性を豊かにして常に前を向いて考え続ける事でしか、波の上に立っている事は出来ません。