-----新人スタッフ奮闘中

今年から新しく事務所に入ったスタッフの初仕事は、現在、基本構想、基本設計中のプロジェクトの模型づくりです。模型といっても、ハウスメーカーのモデルルームに並ぶような綺麗に造られた完成予想模型ではありません。

新人スタッフが渡された資料は、ラフな平面図と、手書きの断面スケッチと同じような空間構成をもつヒントとなる建築作品の写真のみです。僅かな手がかりを元に、その建築の構成・そこでの生活・空間の繋がりやボリューム・建物の構造・・・・あらゆることを考えながら、いきなり模型を造っていきます。

模型を造っては壊し、壊してはまた組み立て直しながら、だんだんと形が見えてきました。建築はいうまでもなく、3次元(3D)の世界です。更に、時間による光の変化や、建物の見え方の移り方を考えれば4次元の世界です。
そんな建築をエスキースするのに、最初から3次元で考えていくのは当然でしょう。模型を造りつつ構想を練っていきます。新人スタッフが行っている作業ですが、実は建築を決める一番大切なスタディーです。

「図面もないのに、模型を造るの?」と驚く方もいます。しかし、我々からすれば、3次元のイメージが無いのに、図面を描くのが不思議です。平面や立面といった2次元の情報を集めて描かれたパースは、クライアントへのプレゼンテーションやクライアントとのイメージの共有には使えるとしても、3次元の立体を構想し、組み立てていく作業には、あまり役にたちません。我々の事務所では、模型を造ってから、模型を見ながら図面を描いていきます。コンピューターの3Dソリッドモデラーを駆使して、3次元イメージを固めていく建築家もいますが、私はどうも苦手です。

今日も、新人スタッフが、出来かけの模型を造っては、壊しながら、建築を構想しています。