----------  もっと光を


「光を・・・もっと光を・・・。」とは、ゲーテが死の床で話した、最後の言葉ですが・・・。

建築模型写真の撮影には、何故か直射日光が当たらない様に、柔らかな光で撮影する・・・という常識があります。
現在設計中のオフィス計画の模型を、セオリー通り、直射日光を避けて撮影しました。ところが、何度、撮り直してもしっくりきません。説明的な写真にはなりますが、空気感が全く伝わってきません。

何が悪いのか考えてみましたが、以前、著名な建築写真家の撮影にご一緒させて頂いた時の事を、思い出しました。
私が生意気にも、「室内の撮影は、光が柔らかいので、曇りの日が良いんですよね。」と言ったところ、
写真家の方が、「そういう人もいますが、私はそうは思いません。写真は光と影の芸術ですから、十分な光が無ければ、良い写真は撮れません。」と言いました。
写真とは2次元と3次元で、分野は違いますが、建築も光と影と空間の芸術です。「曇りの日が・・・」等と、通り一遍な事を言ってしまった自分が恥ずかしくなりました。
撮影して頂いた、窓越しの青空が写ったインテリアの写真は、明るくとても綺麗でした。




その言葉を思い出し、模型写真の常識に反して、天気の良い日に直射日光の下で撮影してみました。

やはり、写真は光と影です!
模型が明るい光の下で活き活きとし、陰影のくっきりした、彫が深く締まった印象の写真が撮影できました。豊かな光の下で、建物(模型)に実存感が出て、建物の周りの空気までも感じられます。
「光を・・・もっと光を・・・。」
全ての事象・対象は、光の下で、その存在が浮かび上がります。建築も建築模型も然り。

プロジェクトはコチラ・・・「緑の中のオフィス」です。