-------------  KEITH JARRETT



正直、キース・ジャレットはあまり好きでなかったのだが、久しぶりに出かけたレコード店で、キース・ジャレットゲーリー・ピーコック&ジャック・ディジョネットのトリオ結成、25周年記念アルバムが発売になっていたので、手に入れてみた。
25周年記念といいつつ、25年目の今年の録音ではなく、6年も前の2001年のモントルージャズフェスティバルの演奏である。キース・ジャレットが自ら書いたライナーノーツには、暑いし、照明・音響も最低、しかも観客もダメと書いている。しかし、演奏は最高で、然るべき時が来たら発表しようと、大切にとっておいた特別な録音だと続いている。
1曲目の「Four」から、キースにしては、わかりやすい演奏が続いたが、6曲目の「AIN'T MISBEHAVIN'(浮気はやめた)」が始まった瞬間、完全にヤラレテしまった。70年以上前のファッツ・ウォラーの曲だが、躍動するリズムに躍りまわるキースのピアノは、楽しいながらも洗練され、古びたところが無く、今の時代を感じさせる。続く7・8曲目の演奏も、弾む様な演奏に踊りだしたくなった。キース・ジャレットのこんなに伸び伸びと楽しそうな演奏を聴くのは初めてだ。そこには、JAZZの楽しさが溢れている。
キース・ジャレットの書いたライナーノーツの冒頭にも、「メロディックでスイングし、ダイナミックに浮揚するトリオの演奏」と書いてる。キース・ジャレットといえば、少し気難しいソロピアノの印象が強いが、こんなにも、気取らず・素直で、楽しい演奏のできる人だと気づかなかった。



それにしても、JAZZと建築はよく似ていると思う・・・というよりも、僕にとって、ほとんど同義語と言って良いかもしれない。
ベースとドラムがリズムを刻みながら     [構造が秩序を創りながら]
メロディーが自由に動き絡んでいく      [空間を自由に刻み込んでいく]
スイングしながら                 [空気を揺らしながら]
ダイナミックに浮遊する躍動感         [ダイナミックに高揚する建築]

そして、何より大切なのは、気取らず・素直に感じること。
「AIN'T MISBEHAVIN'」を聞いていたら、ダンスするような建築を創りたくなってきた。