-----------  木造塾最終回・太田さん

今年の信州木造塾の最終回は、ヨーロッパやアジアの木造建物を研究されている、太田邦夫さんの講義でした。
講義の後、太田さんと松本の建築家数人とで、酒の席をご一緒する予定になっていたので、塩尻の会場から、松本まで太田さんをお送りしました。自己紹介がてら話をする中で、私の自宅の前に太田さんの設計された「松本の家」がある事。太田さんは丹下研究室で、私が勤務していた環境設計の曽根幸一さんと一緒だった事。私が内装デザインに関わっているホテルが太田さんの設計した建物である事。など様々な接点があり、色々なお話をさせて頂きました。


(松本の家・・・私の自宅の2階の正面に、太田さんの設計した建物が見えます。)

酒の席では、太田さんが研究されている、東ヨーロッパや西アジアの木造建物の話が主になったのですが、「何故、東ヨーロッパや西アジアか?」との話で、「東の端の日本から、西の端のイギリスまで、分布する木造建物のルーツは、その真ん中の東ヨーロッパや西アジアにありそうだ。」と狙いをつけたそうです。

そして、バナキュラー(土着的)でプリミティブ(根源的)な木造のルーツを調べる中から、現代の木造や建築に展開できる考えや視点が浮かびあがるはずだと、お話されました。日本で木造というと、伝統の技や作法の話に陥り易いのですが、建築家として、もっと根源的な事に目を向ける太田さんの態度はさすがでした。
そして、太田さんが研究されてきた資料をまとめる「世界の民家資料館」を松本に造れないかとの構想に、夜遅くまで話が続きました。



夏から、6回に渡って行なわれた木造塾の半分ほどの講義に参加しましたが、特に初回の実験と、最終回の太田さんの講義が印象に残りました。充実した講義の内容に、太田さんと酒席を共にしたメンバー二人も、来年は木造塾に参加することになりました。