-----------  続・売りぬく!

分譲マンションという不動産の所有形態は、日本の高度成長期・多摩ニュータウンで生まれました。建物を高密度にして、各個人の土地の負担を少なくし、安価に不動産を所有するシステムです。200坪の土地に容積率500%の建物を建てれば、1000坪のマンション建設が可能です。1000坪のマンションで、一戸の住宅の面積を30坪で計画すれば、約30戸のマンションが可能です。その場合、各自の土地区分所有は200/30で6.6坪が各戸あたりの土地負担面積です。分譲マンションは、各自が区分所有する土地6.6坪に、30坪の建物を共同で建設した建物です。
築40年を経て、そこには大きな問題が残りました。建物が老朽化した際に、多くの入居者の同意(通常は2/3の同意)が無ければ、建物を建替えられない。しかし、40年と言う年月は、入居者にも様々な変化をもたらします。住民の足並みが揃わず、建替えに踏み切れない老朽化したマンションが、多くの住民を悩ませています。

そんな分譲マンション制度の問題点を知りながらも、未だに、多くの不動産ディベロッパーが、多くのマンションを売りぬいています。

今、松本市に林立するマンションも40年後には、どのような結末を迎えるのでしょうか?住民の多くが同意して、建替えるなど考えただけでも、難しそうです。しかしながら、マンション販売業者は、当然その様な将来の心配は説明しないでしょう。多くのマンション購入者は、その問題を現実の事として考えていないかもしれません。


建物の不動産価値が無くなった時点で、残るのは6.6坪の土地だけです。東京のマンションの様に、坪300万円の土地でしたら、6.6坪の土地でも、約2000万円の資産価値がありますが、松本のマンション立地の坪30万円では、200万円の資産価値しか残りません。分譲マンションは、このように地価の高い場所で成立する、不動産形態ですから、松本市程度の地価では、分譲マンションの優位性よりも、将来の問題を大きく感じます。
松本市の高層マンションは、
景観に対する無理があるのと同じくらい、不動産の所有形態としても無理があると思います。