-----------  建築のレシピ


今日、松本市で建築設計をしている先輩から、建築の詳細・ディテールに関して問い合わせがありました。
「このような時は、どの様にしているの?」・・・・・私の経験や今までのやり方を全てお話しました。
狭い了見で考えれば、先輩は互いの仕事を奪い合うライバルですから、ライバルに手の内を見せるとは、とんでもないお人好しかもしれません・・・・・しかし、これで良いと思っています。

料理の世界で仕事をしている私の弟から聞いたのですが、一流の料理人ほど、自分のレシピを公開することに抵抗がないそうです。自分のレシピをさらけ出すことを気にしないし、人のレシピを参考にすることにも変なこだわりを持たないそうです。「レシピどおりに料理をつくろうが。私と同じ味は決して出せない。火加減や味見も含めて、料理をつくる総合力がなければ、同じ様に美味しい料理は出来ない。だから、レシピを誰にさらけ出しても全く構わないし、人のレシピを使っても、より美味しい料理をつくる。」これが、一流の料理人の世界だそうです。

建築の設計も全く同じことで、誰が私のディテールを使おうが、私の建築と同じものは造れません。誰から、レシピを分けてもらおうが、ディテールを教えてもらおうが、それを料理や建築として活かすか否かは、其々の料理人や設計者の腕次第です。

それよりも、信頼できる間柄の中で、お互いのディテールや経験を検証しあって、より良い物を生み出す方が、自分の為であり、お施主さんに対しても有益な事だと思います。何をするにせよ、全てをさらけ出し、素直に物事を受け入れる、柔らかな態度はとても大切な事だと思います。