---------------  アッセンブルする


現在、住宅の実施設計中でキッチンや造り付け家具などの各部分を設計しています。キッチンの設計で、スタッフは、システムキッチンメーカーにたたき台を作ってもらって、それを元にお施主さんに検討してもらいます・・・・と言いましたが・・・・・それで良いのでしょうか?
現在の建設システムの中では、コストパフォーマンスを高くする為には、既製品を上手に組み合わせながら、作るのが賢い方法であることには違いありません。
しかし、既製品を選んだり、組み合わせる際に、メーカーに検討をお願いして提案してもらうのと、住宅全体の構成を考えながら施主や設計者が、一からキッチンのあり方を考えキッチンを設計した上で、その後に、各メーカーの部材を組み合わせてみるのとでは、全く違います。こういうキッチンにしたいのだが、それにふさわしい既製品があったので利用した・・・・・というのと、何もわからないが、システムキッチンのメーカーの提案を受け入れた・・・というのは、たまたまその結果が同じになったとしても、全く違うプロセスです。私が設計する際にも既製品をアッセンブルしますが、許容できる既製品があって、コストパフォーマンスに優れているので採用したのであって、自分の設計や考えにふさわしい既製品が無ければ、自分で詳細な設計をして特注します。

コストパフォーマンスを考えると既製品を選択するのが有利です。だからこそ、既製品を選ぶ際に、自分達のイニシアチブや視点・考えを明確にした上で、主体性をもって製品を選ぶことが大切です。

設計者の存在意義は・・・・・建設会社に対して、専門業者に対して、個々のパーツを扱うメーカーに対して、全体の建築を考えながらその建築や・施主のニーズに対して的確なオーダーを出せるかが大切で、その考えなしに、それらの仲立ちをするだけでは、設計者とはいいません。
この頃は、既製品を組み合わせ、それらの仲立ちをするだけで、形だけの建築は出来ますし、その様な調整役だけで、建築の設計をする方やインテリアコーディネーターの仕事をする方もいます。しかし、私が造りたいのは(お施主さんから求められているのは)そのような仕事ではないと思っています。