-----------プロフェッショナル・装丁家・鈴木成一


NHKの「プロフェッショナル・仕事の流儀」・・・昨日は、装丁家鈴木成一さんでした。この人の事は全く知らなかったのですが、番組の中で語られる言葉ひとつひとつに、頷いてしまいました。装丁も建築も芸術行為ではなく、「受注産業」で、クライアントがいて、対象がはっきりとしていて、それを素材として、モノをデザインする作業です。同じような事を考えたり、その態度や言葉に頷けるのは当然の事ですが、改めて、自分のプロフェッションを見つめなおす機会になりました。

■誇りは自分で創りだす(以下、NHKのホームページより引用・抜粋)

飾りで気を引かない、本の個性を顔にする・・・・「不要な要素をそぎ落とし、徹底的に本の個性を削り出すことしかないと思う。どんな本であれ、その内容は新しいはず。ならば今までの本と何が違うのか、その個性こそがウリになるはずだと思います。」・・・・・建築も全く同じで、私の建築の個性など、問題ではありません。施主がいて、建築を建てる土地があって、土地を取り巻く環境があって、気候風土があって・・・。まずは、その建築の施主と環境の個性を読み取ること。

装丁には正解がある・・・・もちろん正解は、初めから見えるわけではない。初めはぼんやりと、しかし表紙を作り上げる中で、少しずつ、より精緻(ち)な正解の形が見えてくるのだという。・・・・・建築にも正解があると思っています。

頼まれるから、やる・・・・「どんなに経営が苦しくても、絶対に言いたくない言葉がある。それは、『仕事をください』という言葉。それを言ってしまったら、仕事に媚(こ)びが生まれるし、どこまでも相手に振り回されることになる。だから、人に頼まれるからやる、というスタイルは崩したくない。」・・・・・「受注産業」の越えたくない一線!故に、私の事務所も苦労する時もありますが、これでこそ、仕事に正面から取り組めます。

無意識でみる・・・・自分を無意識にすること。別の仕事に没頭し、ふとした瞬間に出来損ないの表紙が目に入る。その瞬間に何を感じるか、その感覚を探るのである。・・・・・「何かが違う!」これを感じることが出来るか出来ないか。装丁・建築に限らず、モノをつくるのに、一番大切な勘で、「勘」は常に無意識に直感を研ぎ澄ますように癖をつける中からしか、身につきません。


普段、私が漠然と考え、また、鈴木成一さんの態度から感じた事・・・「媚びない事」
以前、あるお施主さんに「あなたの様にモノをデザインする仕事に大切なのは?」と問われ、「突っ張ること」とお話した覚えがありますが、肩に力が入りすぎていたかもしれません。「媚びない事」という言い方が、私の気持ち・考えを、正しく伝えることが出来ます。
世間に媚びず・相手に媚びず・自分に媚びず・・・事象を無意識にクールに見つめる中からしか、デザインは生まれません。昨日は、そのことを改めて考えさせられました。