------------------  薪ストーブ


彼岸も過ぎて、先週までの寒さも和らぎ大分春めいてきました。こんな陽気に時期遅れの話題ですが、先日機会があって「屋根の連なる家」にお邪魔して、Aさんから薪ストーブの色々な話を伺ってきました。

我々に設計を依頼する方には、薪ストーブでの暖房を希望する方が多くいらっしゃいます。夕食後、炎を眺めながらくつろぐ、ゆったりした時間など考えただけで楽しそうです。しかし、スイッチひとつで暖を取れる他の暖房器具とは違い、実際に薪ストーブを毎日の暖房として活用するのはそれなりの労力が必要なようです。

Aさんは、二冬を過ごして、ストーブの扱いにも慣れ、快適な「薪ストーブライフ」を送っています。炎を眺めながら、のんびりとお話をお聞きしてきました。

誰しも不安なのは薪の入手ですが、Aさんは、こまめに果樹農家を訪ねて切り倒した木や、剪定した枝を分けていただいているそうです。その為にまず必要なのが「軽トラック」。軽トラックにチェーンソーを積んで出掛けては、木をトラックに乗る大きさに切って運んできます。他には、薪割りの斧が必需品で、薪割り作業や薪をストックする庭も必要です。30坪弱のスペースを暖房するのに、一冬で小脇に一抱えほどの薪の束を、200束ほど燃やすそうです。これだけの薪を積み置きするスペースに自動車1台分の場所が必要です。(仮に200束全てを購入したとすると、12万円〜15万円程でしょうか。)

燃やし方のヒントも教えて下さいました。Aさんは、新たに火を起こすのは面倒なので、常に薪を絶やさずにして一冬燃やし続けているそうです。夜寝る前には、薪をたくさん押し込んでおくと、朝までおきが残っているそうです。「欲張って大きなストーブを選択しなくて良かった。」と感想を聞かせてくれました。これは始めて耳にした、毎日ストーブを活用している人ならではのアドバイスでした。小さなストーブだと火を絶やさずに燃やしてもちょうど良いが、大きなストーブでは薪がたくさん必要だし、勢い良く燃えると暑かったりで、絶やさずに火を入れておくには調整が難しいだろう、との事でした。

灰は…・2日に一度、弁当箱3つ分ほどの灰を捨てるそうです。隣が実家の畑なので、灰を冷やして蒔くだけだそうです。市街地の人は缶に灰を入れて冷やして、可燃ごみで捨てれば良いでしょうか。
煙突掃除は…・お聞きするのを忘れてしまいました。

実際に「薪ストーブライフ」を送る方ならではの、貴重なお話をお聞きすることが出来ました。お話をお聞きしながら、やはり薪ストーブを楽しむには、農家であったり広い庭があったり、気兼ねなく薪ストーブを楽しめる「廻りの環境が大切」だと感じました。