------------------  オープンデスク


建築の大学・専門学校では専門教育の一環として職業実習(オープンデスクと呼ばれています)が盛んに行われています。職業現場での体験を通して、自分の将来の職業をイメージしたり、学校で学んでいることが職業の現場でどの様な意味があるのかを考える実習です。私自身はオープンデスクに対してあまり肯定的でないので(詳しくはまたの機会に)、オープンデスクの受け入れを公募していませんが、今回は特に友人の紹介で、Oさんが私の事務所にオープンデスクに来ています。Oさんは地元出身で、京都のデザイン専門学校の建築コースで学んでいて、春休みの帰省では、同じ松本市内の林建築設計室さんでオープンデスクをしたそうです。頭の柔らかい学生時代に、色々な事務所で色々な体験をすることは大切なことで、なかなか熱心な学生です。
実習の内容は、設計をチェックしたり、お施主さんとの打ち合わせに使う、1/50のスタディー模型製作です。Oさんへの説明は、スタッフのN君が担当します。N君が事務所に入ってから新しいスタッフが入所していませんから、N君にとっても指導的な立場で仕事をするのは始めての体験です。
2日経って、模型が形になってきましたが、少し的外れな模型です。Oさんが帰った後、N君に「なんだこの模型は!きちんと設計の主旨やデザインの意図・模型を造る目的をきちんと伝えなさい。」と怒りました。2日間の2人のやりとりをみていましたが、仕事の前提となる「どんな事を考え、何を大切にして設計をしているのか?」の会話がありませんでした。これではうまくいく訳がありません。
3日目・・・Oさんが作業を始める前に、N君が「どんな事を考え、何を大切にして設計をしているのか?」の説明をしていました。まだまだ的を得ない拙い説明ですが・・・・・前日までの模型とは変わって、設計意図がわかる模型になってきました。
2週間のオープンデスクが、Oさんにとって有意義な体験になってほしいと思います。同時に、N君にとっても、仕事をリードする立場を学ぶのに、良い経験になっています。