------------------  シェイプアップ


シェイプアップといっても、私の体のことではありません。

現在、私の事務所では、複数の建物の基本設計が進行中です。基本設計とは、工事用の細かな図面を描く前の、建物の構成を決めたり、間取りや空間のボリュームを決めていく大切なステージです。建築主の色々な要望をお聞きしながらプランニングしていくのですが、色々な要望を盛り込むうちにいつの間にか大きな建物になったり、バランスの悪い部分が出来てきます。現在取り組んでいるのは、建物のシェイプアップです。

都会の限られた狭小敷地でしたら、色々な制約で建物が大きくなってしまうことは少ないのですが、私の扱う地方の比較的余裕のある敷地ですと、気がついたら大きな建物になってしまうことがよくあります。(ゴムのズボンをはいていると、際限なくウエストが大きくなるのと同じでしょうか?)

夢や希望を一杯詰め込んで、大きく膨らんだ建物をシェイプアップするのは、大変な作業です。しかし、図面や模型を色々な角度から眺めたり、時間を置いて見直しているうちにバランスの悪い部分・ダブついた部分が見えてきます。形になってきた建物への思い入れを排除して、客観的な態度で見直すことが大切です。(自分の体をカガミに映して見るのと同じ事でしょうか?)

どの建物も限られた予算の中で考えますが、建物のシェイプアップは予算に合った建物を計画する上でもとても重要です。仮に坪単価65万円の建物を3坪シェイプアップできれば、約200万円の予算の削減が出来ます。浮いた予算で、仕上げや造り付け家具のグレードを上げることも可能です。
経済面のメリットだけでなく、シェイプアップされた建物は、動線もコンパクトで生活しやすく、外観のバランスも綺麗で、緊張感のある空間が心地よい建物になります。(自分の体に当てはめたら、だんだん耳が痛くなってきました。)

夏休み明けの新鮮な気持ちで、客観的に見直しながら、基本設計中の建物をシェイプアップしています。