------------------  そば処 浅田


週末は、東京から友人家族が恒例の雪遊びにやって来ました。
土曜日は春のような穏やかな天気で、爺ヶ岳スキー場へ・・・。
スキー場全体が緩斜面で、すごくマイナーなスキー場で人が少なく衝突される心配も無い、まさにファミリーゲレンデです。我が家の子供以外は、始めてスキーを履く子供達でしたが、午後には皆リフトに乗って、なんとなく曲がりながら降りてきました。




日曜日は雪のち雨のあいにくの天気で、大人5人・子供6人の総勢11人で蕎麦屋を目指しました。
前日「もりそばラーメン」の話題で盛り上がって、目指した店は「みやま蕎麦」。小さい店なので大人数の場合早くから並びたいところですが、店に着いたのは12:00を過ぎて先客が行列をつくっていました。

あきらめて、次に目指したのは「田舎家」。ここは、蕎麦が旨いのは勿論、「もつ煮」が旨く、酒の肴には最高。木曽地方特産の「すぐき漬け」を使った「すぐき蕎麦」もここでしか食べることが出来ません。・・・ところが、本日臨時休業で残念でした。

大人数で子供連れなので、躊躇していたのですが、「浅田」に行ってみました。店の中を覗いたら、幸運にも奥の座敷で食べていたグループが食べ終わるところでした。席が空くのを店内で待っていると、いつものご主人の声で「早く食べないとまずくなっちゃいますから。」とお客さんに注意(お願い)しています。おそらく「この店の主人は翁で修行して」などとおしゃべりしながら食べていたのでしょう。主人の声に、子供達は少し心配顔になっています。
そんな様子を察してか知らずか、2回戦目の蕎麦を打つ準備をはじめた主人が「君たちの分は、ちゃんとあるからね。席があくまで待っていてね。」と子供達に声をかけてくれました。

座敷が空いて、幸運にも揃って机を囲むことが出来ました。温かい「きのこ蕎麦」は売り切れで、もりそばしかありません。ご注文はもりそば12枚と冷酒、わさびのしょうゆづけ、焼き味噌。子供達も店の雰囲気をなんとなく察して、焼き味噌やわさびをつまみながらおとなしく待っています。一度に茹でることの出来る量が6枚までとのこと、まずは子供の分6枚。子供の食べっぷりをみていると、蕎麦の味がわかるのですが、勿論「合格」黙ってモクモクと食べています。次は大人の番ですが、食べ終わった子供におかわりをねだられてしまいました。食べ終わる頃を見計らって、主人が蕎麦湯を持ってきて「蕎麦湯、足りなかったら、声をかけてください。」と言いながら、子供の食べっぷりをニコニコと見ています。

蕎麦屋で、頑固とか、威張っていると評される店があります。偉そうに能書きを言って「食べさせてやる」という態度の店は大嫌いです。しかし、店が悪いのではなく客の態度がイケナイのではと感じることもあります。子供お断りの店もありますが、おおかたは、店の雰囲気を無視して騒ぎまわる子供連れがイケマセン。
この店のご主人は、言うことは言いますが、腰は低く自分の仕事を大切にしています。想像するに、ガイドブックの受け売りで「翁だ、更級だ、真空保存だ」と、能書きばかり達者な客にうんざりしているのでしょう。能書きをたれる暇があったら、おいしいうちに食べて欲しいと思うのは当たり前です。
一方で、「翁なんて知らないが旨いものは旨い」と、不器用だけれどもおいしそうに蕎麦をすする子供達をみて、とても嬉しそうでした。
メディアに取り上げられる機会が多いので少し心配でしたが、変わらず良い店でした。

P.S. ここの主人と立ち居振る舞いがそっくりな人・・・乗鞍のパン屋さんル・コパンのご主人。