------------------  長野県建築文化賞/講評


第7回長野県建築文化賞の審査結果・講評が長野県建築士会の会報に発表になりました。
昨年暮れに、審査委員の伊東豊雄さん・古谷誠章さんに揃って現地を審査していただきました。一地方の建築賞にこれだけの審査委員をお迎えするのは大変めずらしく、長野県の建築の底上げを考えていらっしゃる、宮本忠長さんのご尽力のお陰だと思います。
現地審査は、私の自宅ということもあって、審査委員の両先生にからかわれっぱなしの審査でした。しかし、二人とも楽しそうにぐるぐると建物を回っていかれました。
審査講評は、まさに現地審査そのままでした。
伊東さん「3人の小さな子供を含む共同体としての家族関係をどのようなプランにまとめるかに最大の力点が置かれている。いくつものサーキュレーションが可能なプランがいかにも楽し気である。今回は若々しい楽しさに若干の軍配が上がった。」
賞をいただけたのは、どうやら3人の子供たちのお陰です。結婚してしばらく子供に恵まれませんでしたが、長女が産まれ、長男・次男と立て続けに3人の親になり、建築で何を大切にするかがはっきりしてきたように感じます。この頃、いかに活き活きとおおらかな建物にするかが最大のテーマになっています。
古谷さん「床の段差も北アルプスで山小屋を営む健脚な一家の住まいと聞いて納得した。」
今はやりのバリアフリーの建物ではありません。何が「バリア」かは、そこに生活する人で決まります。私の両親は「年寄り扱い」されるのが「バリア」な人です。いつまでも元気でいてください。

中でも一番嬉しかったのは、古谷さんの「全体が森の木立の中にいるような空間である。」という評でした。まさに、私はこの建物はこれをイメージして造りました。

審査委員の先生方、建物・庭を施工してくれた皆さん、毎日怒鳴られながらがんばっているうちの事務所の中村君、住み易いのかわからないけれど楽しそうに住んでいる家族。
皆さん有難うございました。