------------------  地からわきあがるもの


週末はJIAの行事が続きました。

一昨日は、JIA長野県クラブで建築家・高橋てい一さんの講演会でした。
高橋さんは、80歳を超えるご高齢で講演会が嫌いな方です。お話をお聞きできる珍しい機会でした。
お話をお聞きしている中で、高橋てい一さんは、東大建築学科のご卒業ですが、早大建築学科の力強さが好きだというお話をお聞きして共感しました。禄山美術館を設計した今井兼次さんや、考現学今和次郎などの早大建築学科の創設期を代表する方のお話がでました。
ちょうど今、今和次郎の「ドメス出版・今和次郎全集・9巻」を手に入れ読んでいる最中です。学生の頃、チームZOOの熊建築事務所で長くアルバイトしていました。そこで、吉阪隆正さんの話や今和次郎さんの話を聞いて、生活や行動に根ざした地から湧き上がる建築の力強さに啓蒙されました。
フォトジェニックな建物が建築雑誌の誌面を飾っていますが、私は今までどおり、多少お化粧がヘタでも、活々とした建築を目指して行こうと思います。


昨日は、JIA長野県クラブ主催の「長野県学生卒業設計コンクール」でした。
長野県の大学・専門学校・高校の建築学科の卒業設計を展示し、宮本忠長さんを審査委員長に県内のJIAの建築家たちが審査する、という学生が社会にでる第一歩です。私は、担当委員で審査の集計など裏方のお手伝いをしてきました。
大学の部・金賞を受賞したのは、女性二人の共同制作で、小諸の町のある一角を実測調査して、古い土蔵を保存しつつ公園やギャラリーに転換していく、というテーマでした。緻密な調査、清楚な図面、広がりのある公園など幾つかの見所がありました。
他は全部、今ひとつでした。昨日の高橋さんの講演ではありませんが、なんといっても作品に力強さが無い。設計がヘタでもなんでも、自分の考えを表現していく力を感じませんでした。「がんばれ!信大生」
講評で宮本審査委員長が「卒業制作は自分の第一歩であり、ここで養われた感性は一生変わらない。」とお話されましたが、その通りだと思います。
自分の卒業制作を見返してみました。A1の図面が26枚と巨大な模型、芸大の卒業制作はクレージーなので比較にはなりませんが、エネルギーだけは自信がありました。
20年たって、前向きに考えていくエネルギーだけは自信があります。(まだ、それだけ?)