事務所の中庭

建築を設計する時、当然、庭や外構とのバランスを考えます。特に、中庭や坪庭を取り込む配置の場合は、庭の樹木はとても大切な要素です。模型を作りながら、ここにはこんな高さと枝ぶりのシンボルツリーを配置して、脇の固めにはこんなボリュームの木を植えたら良いだろうと考えます。建物が出来上がった後は、お施主さんや植木屋さんと一緒に、木を選んだり、色々な場所から眺めながら植える位置を決めたりのお手伝いもします。

そして私の場合は、空間を決めるシンボルツリーや存在感のある樹木以外は、お施主さんの好みに合わせてあまり関わらないようにしています。何故なら建築家任せにすると、地面を覆うグランドカバーは芝生で一面覆いつくしたり、タマリュウで埋め尽くしたり、シンプルですが変化や立体感に乏しく、味気ない庭になってしまいがちだからです。逆に、お施主さんの好みのグランドカバーや花木が手入れされた庭に案内されると嬉しくなります。
しかし、今回の事務所の中庭(3坪ほどの坪庭)は、私がクライアントなので、グランドカバーや花木まで、私が植えなければなりません。シンボルツリーのアオダモと、階段脇のブルーベリーは植木屋さんと決めましたが、グランドカバーはクライアントの私の仕事です。当初はタマリュウで埋め尽くそうかと思いましたが、どうにも味気ないので、色々調べたり、母や妻と一緒に園芸店を廻って、幾つかのグランドカバーを混ぜて植えてみました。

玄関ポーチの脇は丈が低く明るい葉のイワミツバ。一日中日陰になる場所にはツワブキ(リグラリア・ブリットマリークロフォード)。打合せ室から階段下にかけては、ワスレナグサ(ブルンネラ・ジャックフロスト)。とりあえずは3種類のグランドカバーを組み合わせて様子見です。秋には、ある程度の形になるでしょうか?