--------シークエンス

建築、特に住宅を設計していて、おおらかで一続きの空間に拡がりのある建築をつくりたいと心がけています。おおらかな建築であることを、一番大切にしています。
常にそんな建築を心がけながらも、建物をご覧になった方から「この建物は面白い」という感想を頂くことがあります。そんな感想を言われる方が、建築をどのようにみているか思い起こしてみましたが、細部のデザインなどは注視せずに、建物の中をニコニコしながら歩き回っています。空間だ、デザインだと難しいことを考えずに、建築を感じているようです。動きの中から、シークエンスを感じ取っているのではないかと気づきました。

シークエンスとは・・・
>景観の連続、場面の展開。視点が止まっているヴィスタの考えに対して、次々と見えてくる景観の連続性や変化をいう。(「デザイン言語──感覚と論理を結ぶ思考法」より引用)

吉村順三さんの、脇田山荘・・・軽井沢脇田美術館で毎年建築家セミナーが行われ、建物の内部を見れる機会があったのですが、単純な構成の中にも、建物の中を歩くと、色々な場面=シークエンスが現れます。かつて、学生時代、吉村さんの事務所でアルバイトをしていたとき、自邸を見せていただく機会に恵まれましたが、とても単純な建物ながら、歩みを進めるたびに、違った景色が移り変わるのを漠然と覚えています。
ヨーロッパを旅行した時に、フランスのル・トロネ修道院を訪ねました。薄暗い礼拝堂に小さな窓から射す光。中庭も囲む回廊のやわらかな光。様々な光のシークエンスを感じました。


おおらかな、一続きの空間にありながら、シークエンスが展開していく・・・「カッコいいですね。」と言われるより「面白いですね」と言われるような・・・そんな建築をつくりたいと思います。

今週末、私が設計監理した住宅のオープンハウスを行います。デザインやプランは、写真や図面で読み取ることはできます。しかし、シークエンスは、実際の建築の中を歩き回ることでしか、感じることができません。機会がありましたら、御覧になって、感想をお聞かせ下さい。

オープンハウスのご案内はコチラです。

皆様のお越しをお持ちして居ります。