------------------  しなやか信州


今日、新しい長野県知事村井仁さんが選出されました。公職選挙法に詳しくないので、選挙期間中はどこまで書いて良いか分からなかったので、ブログには何も書きませんでした。
マスコミでは、今回の選挙を旧体制の組織の選挙 VS 市民運動・草の根選挙と報道していましたが、私は全く違う見方をしていました。どれだけの人が、イメージのバブルに見切りをつけ、田中さんに愛想をつかしたかの投票だと思っていました。(もちろん、青年会議所OBのような芯の細い候補ではなく、まともな対立候補が必要でしたが・・・。)
田中さんは、この6年間に、しなやか・はぐくむ・循環社会を唱えて県政を運営してきました?その主役として祭り上げられたのは、過去において、県庁から離れ県行政サービスが行き届かなかった、中南信の郡部の町や村でした。林業育成や里山再生の理念の下に、しなやか信州を代表する担い手としてクローズアップされました。メディアが注目するスローライフロハスNPOやボランティアを推奨する社会の風潮とも合わせて、木製ガードレールを旗印としたエコロジーをイメージ付ける戦略は脚光を浴びました。しかし、それが地に足を着けた活動でないのは明白で、未だに確かな産業として根ざす気配すらありません。(選挙戦後半、「木製ガードレール」を連呼する田中さんと、木製ガードレールにしがみつく後援会長の材木屋さんが哀れにさえ見えてきました。)
4年前の選挙では、中南信の郡部のほとんどで、田中さんが他の候補を抑えて圧勝だったのが、今回は、ほとんどの地域で敗北しています。4年前も郡部においても組織選挙がなされていたはずですから、今回の村井さんの選挙戦略の効果ではありません。ロハスやスローなイメージ戦略の一環として、田中さんのイメージづくりに利用されただけと気づいて、田中さんに愛想をつかした郡部の方の判断でしょう。
ロハス・スロー・しなやか・NPOは、イメージ戦略に過ぎず、ひとづくり・ものづくりに育っていません。都会のインテリ?にとってはイメージで構わないかもしれませんが、そこで生活をする人々にとっては、生活に根ざし、生活を変える力にならなければならないのですが、田中さんはそれに無頓着だったし、あからさまに田舎を食い物にする田中さんの態度は大嫌いでした。(神戸震災さえもと邪推してしまいます。)

今回の選挙では、「しなやか」等の耳障りの良い言葉が先走ることない「たくましい」社会を多くの人が望みました。浮かんでは消えた多くの候補者の中で、たくましい社会の牽引役としは、村井さんは適任者でした。これがイメージだけでは終わらないように期待しています。



P.S.
田中さん、最後にツイ一言しゃべってしまいました。
「今まで私を支援してくださった、全国・全世界の方々に感謝します。」
選挙敗戦の会見の最後に語った言葉は、知事としての6年間は、長野県を飛び越えて、全国・世界に自分の存在を広く示したかっただけだと自ら総括してしまいました。小さな国の田舎の知事が「全世界の方々」とは田中さんならではの見識です。料理評論家やワインのソムリエを呼び寄せて、「ジビエの信州」などと吹聴していたのが、世界戦略だったとは恐れ入りました。全世界であなたに期待している人は多くないと思いますが、少なくとも長野県では、あなたのポジションは無くなりました。この先は、日本国の政治でも国連NGOでもあなたを必要とする場所でご活躍ください。6年間、お疲れ様でした。