------------------  プラネットアース


一昨日からNHK「プラネットアース」なる番組を放送しています。予告編を見て楽しみにしていたのですが、2回を見終わって少なからずがっかりしています。

『誰もみたことのない地球の素顔を、極上の映像で描く
これは、NHKBBCが五年の歳月をかけて撮影・制作した大型自然ドキュメンタリー。
神秘と美しさにあふれる生命の星・地球の姿を、最高のハイビジョン映像で描いた野心的なシリーズです。』
(NHK/webサイトより)



確かに色々なカメラワークを駆使して見たことの無い映像が映し出されるのですが、ハイビジョン映像の極上の映像が自然を自然としてでなく、映像の対象物に貶めています。
ホオジロサメやワニの捕食の瞬間がスローのハイビジョン映像で映し出されますが、鮮明な映像からは生身の動物を感じさせず、TVの箱の中の出来事にしか感じられません。画面から感じるのは自然に対する畏敬の念ではなく、テレビゲームの戦闘シーンの様な痛さや温度の無い感覚です。
恐らくは番組制作者の関心は、自然を如何に描き出すかでは無く、無振動カメラだかハイビジョンがかなんだか知りませんが、驚くような映像を撮影することにあるのでしょう。最高の機材を使った、映像屋さんたちの内輪ウケのオタクなカメラ遊びにしか見えません。番組の制作態度は業界や芸能人の内輪ウケをネタにしたバラエティー番組と同じで、本来は五感の刺激で感じるべき自然を扱うだけに、映像オタクのカメラ遊びはバラエティー番組以下です。
これは、自然をバーチャルリアリティー化し、自然をネタにした映像オタクのカメラ遊び。


かつて「素晴らしき世界旅行」や「野生の王国」というドキュメンタリー番組がありました。ハイビジョンに比べればお粗末な映像でしたが、ライオンが草食動物を食べるシーンなどは、骨を砕く音さえも聞こえてくるような映像でした。カメラ遊びとドキュメントの違いでしょうか?