------------------  ものつくり


モノのないところで、あっちからこっちになにか動かして大もうけする人がいる。
昨日、そんな会社に強制捜査が入りました。

一方、建築の仕事は、まぎれも無い「ものつくり」です。
しかし、我々も建築の図面をCAD(コンピューター)で描く様になって久しい。CADだと整然としたきれいな図面が素早く描きあがるが、建築とは言うまでもなく、「建物」を築造すること。
そんなことは、今更言われなくても、ワカッテイマス。イイエ、ワカッテイマセン!

この柱をたてて、その上にこの梁がのって、こっちの力がここに伝達されて、ところで、ここに落ちた雨が、こっちに流れて、ここに集まって、忘れちゃいけない、ここの空気が暖まって、ここで冷やされて下に下りて、この換気扇から排気されて、そういえば、小さな子供がいたから、この階段の手摺はこんなにして、これだとかっこ悪いからもっとスマートに見えるようにして、ところで、この前ここをこうしたら一年たたずに隙間が開いたから、今度はこうして、本当はこうしたいけれどもったいないし、このやり方で工夫してみよう、だからこうしよう、やはりこうしよう。

「ものつくり」とは、決断したはずが、やはり割り切れなくて、それでも形にする責任があって、最後に出来上がったモノに結果が現れることから逃れることはできません。出来上がったモノが全てです。
あらゆる角度から考え続け、頭が考え、目が考え、手が考え、コンピューターは線を引いてくれますが何も考えてはくれません。

「ものつくり」の葛藤と責任とはおよそかけ離れ、何のためらいもなく描かれたコンピューターの線で、建物が出来てしまいます。それが恐ろしい。

今日、そんな建物を販売した人が、証人喚問されています。