------------------  武士は食わねど高楊枝


構造計算偽造問題について、私の所属するJIA関東甲信越支部から声明が出されました。主旨は、「我々は職能倫理を大切にします」という内容です。

ここで言う職能倫理とは、建築基準法に照らして、「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を守り、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資すること」です。
無論、私はこの職能倫理に基づいて仕事をしています。

しかし、施主からこの倫理に背くよう依頼された場合はどうしますか?
断る(主に逆らう)! 仕事を降りる(腹を切る)!
サムライ(士)商売とは、よく言ったものです。これを覚悟しているサムライ(建築士)だけが倫理に基づいた仕事ができますし、これができなかった人が、今回の事件に加担しました。
大切なのは、人に恵まれる事、そして類は友をよびます。誰しも自分ひとりで生きているのではなく周りの人たちから生かされ、それらの人々の期待に応える仕事をする事が感謝の気持ちを示すことです。建築に携わる我々ができる唯一のことは、人に喜んでいただける建築をつくり続けることです。
「建築家として、もっとも、うれしいときは、建築ができ、そこへ人がはいって、そこでいい生活がおこなわれているのを見ることである。」(1965) 建築家・吉村順三


また、我々は、過剰な宣伝や、強引あるいは嘆願するような営業行為を避けるべきです。あくまでも、施主と対等な関係を築くことが大前提です。一方、ホームページ・blog・雑誌その他の媒介で、自分の考えや作品・仕事を発表し、判断材料を提供する事は重要です。
それでも仕事が来ない時は、あせらず騒がす、信頼に足る建築家になるべく精進するしかありません。「晴耕雨読」の態度を忘れないことです。

「武士は食わねど高楊枝」・・・我々の為にある言葉です。